はじめに
世間を騒がしている「Emotet」。2014年ごろから確認されているマルウェアだが、流行と鎮静化を繰り返しながら変異を続けており、今もなお大きな影響を及ぼしている。2020年は、多数の企業が被害を受けた年になった。
Emotetに一旦感染するとやっかいだ。そのモジュールがさらに別のモジュールをダウンロードする。ダウンロードされたモジュールは、ほぼ間違いなく悪意のあるコードだろう。
Emotetは通常、メールの添付ファイル、またはメール内のリンクを介して伝播および拡散される。クリックする、または開かれると、悪意のあるモジュールが起動する。起動したマルウェアはユーザーの資格情報をつかって、PC内の情報搾取やストレージ暗号化、身代金の要求を行ったり、ネットワーク内にある他のマシンに対して攻撃の幅を広げていく。今後も、Emotetフィッシングメールを使用したサイバーが継続して行われるだろう。やられる前に、きっちり対策しておきたい。EmoCheckやEmoKillの使い方、利用方法についてまとめる。
「Emotet」についての基本的な知識や対策
「Emotet」についての情報提供や基本的な対策は、IPA(情報処理推進機構)のサイトや、JPCERT/CCの公式ブログにまとめられている。以下2つのサイトを見れば、基本的な知識と対処方法が理解できる。
■「Emotet」と呼ばれるウイルスへの感染を狙うメールについて
https://www.ipa.go.jp/security/announce/20191202.html
■マルウエアEmotetへの対応FAQ
https://blogs.jpcert.or.jp/ja/2019/12/emotetfaq.html
対処方法として、
- 送信者に心当たりがあるかどうかだけで、メールの内容を信頼しない
- 心当たりのない添付ファイルは開かないようにする
- Officeの「マクロ設定」で「警告を表示してすべてのマクロを無効にする」に設定する
- Officeファイルを開いたときに表示される「コンテンツの有効化」はクリックしない
など基本的なことが大切なことはもちろんだが、もっと目に見える形でチェックや対処を行うためのツールが用意されているので、それぞれ試してみる。
「EmoCheck」でチェック&対処する
「Emotet」に感染しているかどうかを確認できるWindows向けツール「EmoCheck」がリリースされているので、試してみた。
1.以下URLにアクセスする。
https://github.com/JPCERTCC/EmoCheck/releases
2.OSのバージョン(bit)に応じて、以下のどちらかをダウンロードする。
(bitが分からない場合は、x86のほうをダウンロードすればOK)
3.ダウンロードしたexeファイルを、実行する。
以下のように、「Emotetは検知されませんでした。」と表示されれば問題なし! ひとまず安心。
もし、以下のように「Emotetのプロセスが見つかりました。」と表示されたら、Emotetに感染しているので、以下の手順で停止・駆除を実施する。
- タスクマネージャーを起動し、詳細タブから実行結果に表示されている「ファイル名」を選択し、タスクの終了を選択する。
- 実行結果に表示されている「イメージパス」のうちフォルダ部をエクスプローラーで開き、表示されているexeを削除する。
「EmoKill」で、Emotetプロセスを検出&強制抑止する
EmoCheckのロジックに基づくEmotetのパターンに一致するプロセスを監視、もし見つけたらできるだけ早く強制終了するという。これは、入れておかねば!
1.以下のURLにアクセスする
https://github.com/ZiMADE/EmoKill/releases
2.最新バージョンの「EmoKill.zip」をダウンロードする
3.zipファイルを適当な場所(「ドキュメント」など)に解凍する
4.解凍されたファイルのうち、「EmoKillConsole.exe」を実行する
5.「1」を入力し、エンターキーで実行する
(EmoKillをサービスとしてインストール/更新して開始する)
6.エンターを押してひとつ前の画面に戻る
7.「0」を入力してエンターを押せば完了
これで、EmoKillはEmotetのプロセスを検出して強制終了する準備ができているはず。
「EmoKill」の動きをチェックしてみる
さすがに「Emotet」は持っていないので実物では確認できないが、EmoKillに同梱されているファイルの中に、「EmoKillTest.exe」というファイルがある。これを起動すると、擬似的にEmotetに感染したふるまいをしてくれるということなので、起動してみた。
すると、ほんの少しだけ以下のようなウィンドウが表示された後、あっという間に消えていった!有効に機能しているようだ。
基本的な対処方法に留意してPCを使うことはもちろんだが、EmoKillサービスが稼働してくれている安心感はとても大きい。Emotetへの恐怖感を軽減できるお守りとして、活躍してほしい!
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